私の母はとても素晴らしい経歴の持ち主です。
それは幼少期から英才教育を受けており、人がうらやむような人生をたどってきた人でもあるんです。
母は東京の渋谷生まれであり、祖母や祖父は大学の創始者であり、渋谷周辺の広大な土地を持っている大地主でもあったんです。
それ故住まいの屋敷も広大な宮殿のようないでたちで、まるで西欧のお城のようなアールヌーボーやゴシック調の大邸宅に住んでました。
メイドも何人も抱え、母はまるでプリンセスのような生活を昭和の初めに送っていたのだから驚きです。
両親が教育者であったこともあって母は、厳しい制裁教育を三歳から受けたといいます。
それがバイオリンの演奏の教育であり、お抱えの教師が三人もいたといいます。
こうしたお金をたくさんかけての英才教育もあって、たくさんのプロの走者を輩出している国立の音大の小学校にも入学でき、エスカレーター式に大学まで進学したのだそうです。
母の才能は見事に開花し、大学時代には当時では珍しかったオーストリアのウイーンに留学を果たしました。
その後ドイツのオーケストラに入団したものの、やはりソリストとして活躍したい夢があきらめきれず、母は再び日本の音大に戻って紫綬を仰ぎ、三年後に再びドイツに留学しソリストとして活躍できるバイオリン奏者になったんです。
日本でも演奏会が開かれ、祖父母はそれを見て涙を流して喜んだといいます。